Compiere 沿革

日本で成長したCompiere (沿革)

投稿者:

日本で成長したCompiere  ・・・いずれ世界へ。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プロローグ — Compiereの誕生から、米国における現在のCompiere —

Compiereは米国で生まれました。オリジナルの開発者は、ヨルグ・ヤンケ (Jorg Janke) です。

ヨルグ・ヤンケは、元Oracle Applications開発チームのディレクターでした。

Compiere社の設立は1999年1月、初版の導入は2000年で、導入先は Goodyear Germanyです。

2006年には、ディストリビューションパートナーの数は100以上までに広がったとヨルグ・ヤンケは紹介しています。

2007年12月には、Compiere社提供の Community Edition 3.0 がリリースされ、累計の全世界でのダウンロード数は180万に達しました。

Compiere社は2006年にVCより出資を受けましたが、有償版ビジネスにシフトしたいVC側と、オープンソースにこだわるCompiereコミュニティのメンバー側の意見の不一致が生じ、2006年9月には、コミュニティによる開発にこだわったグループが “Adempiere” としてフォーク(分岐)、ヨルグ・ヤンケ自身も2008年12月、ちょうどCompiere社設立10年を向かえた時にCompiere社を去ることになりました。その後はAccotto社を設立し、Salesforce関連のビジネスを推進し現在に至っています。

Jorg Janke | Professional Profile – LinkedIn

https://www.linkedin.com/in/jorgjanke

また、Compiere社自身もその後もビジネスは継続しており、2012年からは、Aptean社(米国ジョージア州)のCompiere Divisionとして継続しています。

Aptean ERP Solutions – Compiere ERP

http://www.aptean.com/products/compiere-erp

 

Compiere日本企業版の開発とビジネスの基礎確立時代

このブログにおける別の投稿「Compiere開発者・エバンジェリスト 吉日木図(ジリムト)」 でご紹介しました通り、ヨルグ・ヤンケのトレーニングを受けたジリムト(株式会社アルマス)が、2005年8月に米国Compiere社のオフィシャルパートナーとなり、Compiere日本企業版の開発(日本語サポート、日本商習慣対応等々)をスタートし、2008年8月にCompiere J300_A01をリリースしました。

(株)アルマスはソースフォージ (SourceForge)と自社サイトにこれを公開し、興味を持った個人の技術者や企業が自由にダウンロードできるようにして、希望する顧客に導入方法や活用方法のトレーニング、カスタマイズ支援等のSEサービスを提供しました。

2009年には、野村総合研究所(NRI)のオープンソースマップ2009にも紹介され、成熟度もプレゼンスも高く、企業システムで使えるレベルとの高評価をいただきました。

 

日本企業版コミュニティーエディション Compiere J300_A03のリリース

2010年6月には第3版となるCompiere J300_A03をリリースし、アルマス独自のWEBユーザーインタフェース(WEB-UI)を搭載しました。それまでのJavaクライアント(Swing版)ベースのクライアントサーバー型の利用形態のみならず、WEB-UIベースで離れた拠点からも利用できるシステムに発展させたことにより、複数拠点を持つより大きな企業においても活用可能なシステムに発展しました。

Compiere J300_A03は、インターネットからダウンロードできるオープンソースのERPとして注目を集め、日本国内でも累計20,000件のダウンロードを達成しています。ただし、実際にどのくらいの件数が実業務において利用されたのかは把握することができておりません。直接・間接でアルマスが導入支援やトレーニングを行った企業数は、50件程度です。なお、中には、大手企業がフリーダウンロードし、自社内の部門システム等の2nd.ERPとして数社が利用しているとの調査結果が上ってきています。

(この情報は、どこかのタイミングで別の投稿として掲載したいと考えます。)

ここまでが、日本におけるCompiere事業の基礎確立時代です。

 

私とジリムトの出合い

私(細沢:投稿者/現・コンピエールジャパン株式会社 代表取締役)がジリムト(Compiere日本企業版開発者/株式会社アルマス代表取締役)と初めて会ったのは2009年の5月です。まだユーザーインターフェースはSwing版のみのCompiere J300_A02のデモンストレーションを、アルマスのオフィス会議室で受けました。

自身の最初のキャリアを退職後、ビジネス開発のコンサルを生業とする小さな会社を運営していた一環で新しい商材を探していた時にたまたまCompiereに行き着いたのですが、大手外資系コンピュータメーカーでの経験が長かった自分にとっては、とても衝撃的な印象を受けた瞬間でした。

つまり、大型ホストコンピューターやオフコンの箱売り、大規模なシステムインテグレーションの時代を謳歌し、SAPをはじめとするERPが日本の大手企業に導入され始めた時代に社会人としての最初のキャリアを積んだ自分にとっては、ジリムトが挑んでいる世界は、180度も方向性の異なる世界でした。

❝オープンソースのERP? ライセンス無償!? ・・・ どうやって儲けるの??❞ 

常識を覆すアプローチ、大きな声で、少し聞きなれないイントネーションの日本語で、切々と語る内モンゴル出身の技術者に、とても興味を受けました。Compiere自体は、まだWEB-UIを開発中であるということで、将来的に楽しみだな・・・との印象を持ったのを覚えています。

時は、リーマンショックが起こりその影響が日本にも及んでいた時代、企業の情報システム投資にも影響が出ていました。

そして少し時を経て2011年1月に私はジリムトと再び会い、それから2ヶ月ほどじっくりと話し合い、Compiereを一緒に広めていく仕事をスタートすることにしました。リーマンショックの影響が大きく影を落とし、IT技術者の派遣会社も取引先から契約を打ち切られ、仕事量がめっきり減っていた時代です。

❝顧客からお金をむしり取る様なビジネスはもう要らない。❞ 

高額なERPや、3次請け・4次請けも当たり前のITゼネコンで膨大な金額に膨らんだシステムインテグレーションも、もはや時代にとって不要なビジネススタイルであり、多くの中小企業にとって有益なシステムを、Compiereをベースに展開しよう、というのがその時の思いです。

私とジリムトは、CompiereをベースにSaaSをやろう!と、その時に決めました。

しかし・・・

 

販売推進体制模索時代

2011年3月11日、日本中の誰もが忘れはしない東日本大震災が起こりました。

私はその日、某自動車メーカー研究所に4月から別の事業の立上に従事する報告と引継ぎのあいさつの帰りで、ちょうど宇都宮の駅まで戻ってきたところ。その日多くの人達が帰宅難民となったように、新幹線も動かず、宇都宮に足止めを食らいました。

後から聞いたところによると、アルマスの面々も、帰れず事務所に泊ったり、一晩中歩いて帰ったりしたようです。

この大惨事は、被災地のみならず、経済面でも日本全国に大きな影響を与えたのは皆さんが認識していることですが、私たちのSaaSを立ち上げるという計画にも、大きな影響を与えました。

 

2011年4月よりスタートした私とジリムトの共同作業は、CSaaS と名付けたSaaS事業の計画と、資金集めでした。CSaaSは、Compiere Service as a Solution の意味です。最後の S を、ServiceではなくSolutionにしたのは、今までにない、安価で使いやすく、革新的に経営に役立てることが出来る小規模企業・中小企業向けのサービスを作ろうという思いを込めたことによります。

当時の石原慎太郎都知事の捺印による東京都経営革新計画の承認もいただきました。

SaaSのサービスが完成すれば販売協力を頂けるという覚書も、全国500数十か所に店舗展開している某Y電機・法人事業部様からいただき、開発と運用サービスセンター構築のための数億円の資金確保が必要と考え、30以上の中堅・大手IT関連企業やVCにプレゼンし、投資の依頼を行いました。

しかし、結果は無残にも徒労に終わりました。

IT業界では中堅と言える某二部上場企業の取締役から言われた、「一次請けの大手SIerに派遣している技術者が数100人単位で契約解除になって戻ってきている状態で、先行きの不透明な計画に投資する余裕は無い。」という言葉が、記憶に残っています。

❝ ここでも、ITゼネコンの話か⁉ ITゼネコンで生きている会社には理解できないだろう。 ❞

と思いましたが、これが現実であり、本質的には描いた計画が「机上のプラン」でしかなかったという判断をしました。

我々は、もう少し現実的なアプローチが必要であり、大風呂敷を広げるのではなく、

  • SaaSのトライアルをまず 1件 の小規模企業でやってみよう。
  • Compiereの知名度を上げることが大切であり、パートナー制度を確立し、パートナー様経由で全国にCompiereを販売していこう。

という方針変更を行ない、アプローチを開始しました。

SaaSのトライアルにおいては、株式会社ユー・エス・エス様(東京都港区)https://uss.co.jp/ との協同で、従業員5名の化粧品卸事業を営む企業様をモデルに、AWS (Amazon Web Services) を活用してサービスを提供いたしました。

パートナー制度の確立においては、Compiere の頒布価格と保守サポート価格の設定を行い、パートナー各社がエンドユーザー企業様にCompiereを提供する標準的な料金体系を明確にしました。

Compiereは GPLv2規約に基づくオープンソースソフトウェアです。

料金に係わる部分のルールを簡単に言えば、

  • ライセンス(ソースも含む)の価格は無償、ライセンスそのものに料金設定はしてはならない
  • その他の付加価値サービスは個別に設定することが可能

ということです。

つまり、

  • ライセンスの頒布(はんぷ) をCD/DVDに格納して郵送する場合、同梱するマニュアル、使用方法の説明・ガイド等の成果物は、頒布事業者のノウハウとして料金設定を許される。
  • オープンソースソフトウェアの導入支援はもとより、教育・トレーニング、トラブル等の修復、保守サポート等は、頒布事業者のノウハウであり、これを有償で提供することは許される。

という事です。

もともとオープンソースソフトウェアは無償のライセンスであり、バグがあっても保証のないフリーソフトです。自己責任において、自由に使うことを前提としたソフトウェアです。

 

フリーソフトで失注。 保守サポートの有償化に至った経緯

私たちは、ある大手旅行会社の関連会社様にCompiereによる物流システム構築の提案をした経験がありますが、情報システム部長様がCompiereを高く評価いただき役員会に答申いただきましたが、情報システムとは全く関係ないある取締役様から、「フリーソフトで大丈夫なのか?」と質問されて答えられず、失注しました。

  • フリーソフトで失敗したら、だれが責任をとるのか?

当然ながら情報システム部長は、「私が責任をとります。」とは答えられません。

一緒にこの提案をしていただいたパートナーのシステムサービス会社様も、答えられません。

つまり、開発元・販売元である私たちが責任をとる方法を制度化しなければ、日本の市場においてCompiereを販売することは難しいという、事実にぶつかりました。

そして私たちは、Compiereの保守サポートを有償化し、ライセンスのバグによるトラブルにも対応することにしました。これは、年間の保守サポートをお支払いいただくお客様には、

  • アルマスが開発した部分のみならず、米国Compiere社が開発したオリジナルのコードに含まれるバグについても責任を持って対処します。
  • Compiereの新版がリリースされ、現行版から新版へのバージョンアップを希望されるお客様には、追加料金なしで新版の頒布をいたします。

という制度です。

保守サポート対象は、Compiere日本企業版スタンダード・エディションと称し、Compiere J300_A04(2011年7月にリリース)以降を対象といたしました。

 

「Compiereをベースとして中堅中小企業のシステム化を推進するという」同じ思いを持っていただく企業を募集し、複数の企業の賛同を得て、コンピエールジャパン株式会社を2013年3月に正式に発足させました。

アルマスは製品の開発に専念し、パートナーを通じた販売プロモーションはコンピエールジャパンが担う、つまり「車の両輪の様なかたち」で、Compiereを日本中に広めていこうという考えです。  SIパートナー/コンサルティングパートナーには、2013年度内で5社の企業様(東京2、札幌、北九州、富山)に登録をいただきました。

ここまでが、販売推進体制模索時代です。

 

Compieeライセンスおよびエディションの歴史

Compiere社によるCommunity Edition 3.0の提供が開始されたのは、2007年12月です。アルマスが開発・拡張しているCompiere日本企業版のベースは、この Community Edition 3.0です。

これをベースとした Compiere日本企業版は、2008年8月にリリースされた Compiere J300_A01です。

現在の最新版は 2017年9月リリースの Compiere Dia X10 です。日本企業版の第10版となります。

A01~A09までの A は、アルマス(ALMAS)の頭文字です。

では、第10版から何故、X に変えたのか?という質問をいただくのですが、

リリース当日の9月18日の夕方、突然にジリムトが、「X10にしよう。」と言い出しました。

それまでのプリアナウンスでは Compiere Dia A10 で通していました。

  • 何で、X に変えるの?(H)
  • いや、もう、リリースノートも変更しちゃったから。(J)
  • え?(H)
  • それで、CDも作っちゃたから。(J)

良く解からないまま、X10 となりました。

ここで言っているCDとは Compiere 頒布用のマスターCD です。その中に同梱したリリースノートのテキストファイルにも、もう X10 と書いてしまったということを言ってます。

  • まあ、いいか。(H)

「Compiere 最新版の試用プログラム」をご利用されるM社様への郵送期限の日だったので、そのまま了解しました。

「Compiere 最新版の試用プログラムのご案内」はこちら。(2017年5月29日付け発表) ≫

後で考えてみて、そういう事だろう・・・と理解したのは、

  • 「Dia」と「A」の表す意味が重なること。
  •  iPhone X が発表されたから、なんとなく「X」にしてみたくなったこと。

の2つの理由です。確認していませんが、間違いありません。

ちなみに、Dia はダイアモンド(Diamond)のダイアです。DIAMOND

ALMASは、モンゴル語で「ダイアモンド」の意味です。

 

 

アルマスが拡張開発をしてきたCompiereを、A09から「Compiere Dia」 と呼ぶことにしましたが、Dia A09,  Dia A10 は確かに意味がダブっていますね。

でも、本人と周りの何人かしか気が付かないダブりですし、どうでもいいかもしれません。

案外と、iPhone X に影響を受けた方が強いかもしれません。

でも、これはこれで X と 10 がダブっていますが・・・・

 

Compiere日本企業版の歴史

以下のチャートは、米国Compiere社が開発し、アルマスが拡張開発してきたCompiere日本企業版の歴史をまとめたものです。

日本企業版・コミュニティーエディション(Compiere J300_A03迄)は、現在でも無償でダウンロード可能です。

日本企業版・スタンダードエディション(A04 ~ 最新版:Compiere Dia_X10)は、保守サポート契約を頂けるお客様向けに限定頒布を行なっています。

Compiere社によるCommunity Edition 3.0は、プログラムステップ数  58万7千のシステムでした。

日本企業版コミュニティーエディション Compiere J300_A03は  101万6千ステップのシステムです。

最新版スタンダードエディション Compiere Dia X10は、約440万ステップのシステムとなりました。

この大幅な拡張は、WEB-UIを開発したことなども大きな要因ですが、例えば、オープンソースとして公開されている帳票作成ソフトJasperReports(ジャスパーレポート)等のプログラムやツールを そのままCompiereに組み込んだことなども影響しています。

「JasperReports Wikipedia」  https://ja.wikipedia.org/wiki/JasperReports

なお、Compiereリリース内容の詳細につきましては、こちらを参照してください。

Compiere 日本企業版・リリースノート

http://www.compiere-japan.com/products/compiere/release.html

 

製品サービス拡張時代

以下のチャートは、日本に於けるCompiere事業の沿革をまとめたものです。

2013年の春よりスタートしたパートナー様との協業によるビジネスの推進は、一定の成果を上げることが出来ました。
IT関連事業を営むパートナー様自身が、自社の販売管理システムをCompiereベースで構築いただき活用された事例が2件、化粧品卸売業の事例、輸入食品販売業における事例など、個別企業における導入事例や、歯科医療機器の大手企業様のディーラー50数社の販売管理システムをCompiereで再構築するプロジェクトもスタートしました。
これらは全て、Compiereをアプリケーション開発のプラットフォームとして活用し、ユーザー環境に合わせて個別のニーズを吸収してお客様専用システムを構築した事例です。
Compiereのカスタマイズ性能の高さと、オープンソースベースのリーズナブルなシステム構築が可能であることが、評価いただいたポイントです。

Fit Your Needs and Budget! (最適フィット x 納得コスト)

これは、私たちが掲げたキャッチフレーズです。
しかし、パートナー企業の増加数や、Compiere技術者の育成数や、導入プロジェクトの件数や、Compiere自体の認知度や、私たちの成長そのものも、全く満足が行くレベルに至っていない状況にあります。
何かが足りない・・・
何もかも足りない・・・
目指しているものと、やり方が合っていない・・・

パートナー様においても、課題が発生しました。

  • SAPを売った方がずっと儲けが出るのだから、Compiere の技術者を育成し増やすことなど、会社は出来ない。
  • 親会社の意向で、社内導入したCompierreベースの販売管理システムも、グループ共通システムに移行することになった。
  • 1件1件の案件をCompiereで時間をかけてやっていたら、SEの人件費でお客様の負担額も膨らんでしまう。
  • 事業部長が代わったら、Compiereビジネスの方針も変わってしまい、人員が削られてしまった。
  • Compiereの良さは技術者には解るけど、中小企業のエンドユーザーには実績とか、同業他社が入れているかとか…そういった評価基準の方が重要視される。

等々、いろんな壁が立ちはだかってきました。

「販売推進体制模索時代」の後は、「製品サービス拡張時代」と表しましたが、実はこれは「製品サービス提供方法の模索時代」とも言える状況です。

  •  原点に戻って、SaaSに再びチャレンジしよう。
  • 標準テンプレート化を図って、すぐ使えるクラウドサービスとして提供しよう。
  • 大手企業の2nd.ERP のニーズを掘り起こそう。
  • 特定の業界に絞ってアプローチしよう。
  • 海を渡ろう(海外市場に進出しよう)。

等々、まさに模索の状態です。
これらは、沿革ではなく、現在進行中ですので、このブログの別の投稿で紹介していきます。
紹介できるタイミングは個々に異なると思いますが、ご紹介できるものから順番に投稿していきます。

 

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です